読書雑感2001     お勧めの本メニューへ         トップページへ

亀井一成「動物ないしょ話」集英社文庫☆☆☆
 関西のラジオ番組等で動物の面白い話を聴かせてくれる神戸、王子動物園の人。
ペンギン、象などおなじみの動物の園内での面白い行動、事件などをそれぞれの動物毎にふんだんに使ったカラー写真とともに紹介されている。 「トラとライオンはどっちか強いか」では4m400sの巨大なシベリアトラが登場しその維持費などの記述を見て改めて動物園の大変さを思う。

純パの会「新宣言 全日本パ・リーグ党」角川書店☆☆☆
 1989年に発行された本、似たような本は他にもあるが、玉木正之氏などが執筆しており西武や近鉄、西鉄、南海偏重気味の本が多い中、実績を公平に評価したいい本に仕上がっている。最近よくマスメディアに登場し球団と都市との関係を訴え続けている玉木氏が身売りされたばかりの阪急ブレーブスの事について書かれており、主流マスコミから風化されようとしているブレーブスの詳細な記述が嬉しい。

村井葵「幻想のヒマラヤ」中公文庫☆☆
 ヒマラヤ山群の未踏峰登山中に1ヶ月間意識不明になった人の山行記、著者よりも周囲の人物の強さが伺える例えばエベレスト日本人初登頂した松浦さんなどはやはり強い。

西丸震哉「裏返しのインド」角川文庫☆☆
 ユニークなインド体験記、C調の文章で学術探検隊との名称とはおおよそかけ離れた内容で軽い気分で読める。

長谷川恒男「岸壁よ おはよう」中公文庫☆☆☆
 名クライマーの著者のアルプス進出までの半生記、それにしても周囲の人物がこんなにも死んだり、アクシデントに見まわれるロッククライミングとはなんとリスクの多い分野なんだろうと今更ながらに思わされる、広場で棒切れで玉を打つプロに何十億払うならこの業界はもう少し評価されても良いんじゃないか、困難な壁の登攀の模様をTV中継などで見てみたい。

畑正憲「生きる」ちくま文庫☆☆
 ユーモアとウイットに富んだいつものエッセイとは一線を画し自身の生物学の知見を開陳している本、アメーバやゾウリムシの無精生殖が面白かった。 一番印象に残ったのは広島県で発見された変異の蛙、口の中に目があるなんて吃驚しました。

畑正憲「ムツゴロウの大悦声」徳間文庫
 同じような装丁なので、いつもの文春文庫かなと思って読み始めたら口述筆記のようなやっつけ本だった。

畑正憲「ムツゴロウの野性教育」廣済堂☆☆
 現代の教育を憂い、自然回帰の教育示唆本、成る程と思いながら読み進んでいくが度々出てくる「底力」が勉強に散々苦労した(特に理数)人間にとって頭のいい人のさからしさが垣間見えて嫌だった。

畑正憲「ムツゴロウの雑食日記」文春文庫☆☆
 珍しい食材をベースにしたエッセイ、カニバリズムからコウモリの糞まで、氏なら躊躇もなく人肉も・・・

畑正憲「ムツゴロウの自然を食べる」文春文庫☆☆
 北海道の食材をベースに綺麗な挿し絵とともによめるエッセイ。

畑正憲「ムツゴロウのゆうびん箱」角川文庫☆☆☆
 ムツゴロウさんがやると人生相談もこうなる、一人の質問にたいしての返事が長いので、開高健や今東光 氏らの本とは全然違うが、親身さが垣間見える。

畑正憲「ムツゴロウの絵本1.無人島の巻」文春文庫☆☆☆
 北海道、道東、霧多布沖の無人島での生活をふんだんな写真と共に紹介して有る楽しい本、あっとゆうまに読めた。

畑正憲「われら動物みな兄弟」角川文庫☆☆☆
 日本エッセイスト・クラブ賞受賞作、生態記、でも僕はやはり第四章「ネンブツダイを求めて−八丈日記」のような読み物の方が好きだ。

畑正憲「ムツゴロウの動物王国」文春文庫☆☆☆
 TVでよく放映されているときは犬が画面に出てきたら嬉しかった僕ですが、偏愛がなかったムツゴロウさんもやはり犬が一番好きなのではと思っていましたが、ヒグマも手なずけていたとは恐れ入りました。ヒグマだったかもしれませんね。

畑正憲「ムツゴロウの世界博物誌」文春文庫☆☆☆☆☆
 お薦めの一冊、普通同一著者の実体験を元にした本は内容が重複するところがありがちだと思いますが、この人の人生には幾つ引出しがあるのだろう、ショッキングな体験談からいろんな国の裏路地での地元民とのふれあい、類い希なる行動力、今となっては他の作家さんの紀行文が色あせて見えます。

盛川 宏「モリさんの魚釣り夢かたり」自由国民社☆☆
 以前週間釣サンデー誌にエッセイを連載していた人の本、主に船釣りにまつわる食べ物と釣のエッセイ。
釣り場での変わった人物との出会いや出来事、酒・魚にまつわる短編集

村上 久「検事の現場検証」中公文庫☆☆☆
 読まれるからなのかこの手の本は似たようなのが割とあるが、どれも二昔前の物が中心なのは何故だろう?
そして内容は実際に起こった物を題材にした物と技術的な事柄に片寄っている物に別れるような気がするが、こちらは
前者でなかなか面白かった。

安部 譲二「極道渡世の素敵な面々」詳伝社☆☆☆
 刑務所収檻時代の悲哀を書いた「塀の中」シリーズでは大変面白い思いをさせて貰った著者の博徒としての現役時代の事を書いた本。
暴力団と言うよりは旧弊なやくざの個性的な人が書かれている、氏の筆によれば明るくコミカルに映るから不思議だ。
JRAの胴元としての取りすぎの記述ややくざよりやくざらしい現役銀行員との顛末なんか相変わらず読み物として飽きさせない。
この人の著作は読書の喜びを与えてくれる。

畑 正憲「猫読本」文春文庫☆☆
 猫と銘打って有るが、それ以外の生い立ちも書かれている。猫の写真多数有り。

畑 正憲「ムツゴロウのオーストラリアふしぎ旅」文春文庫☆☆
 著者の不遇時代憧れたという地、オーストラリアでの見聞記。 ラクダでの長旅部分が面白かった。

林葉 直子「ひとりぼっちの対局」ノラブックス☆☆
 棋界を去って久しい元女流棋士の高校時代に書かれた自叙記、持って生まれた物か将棋で培われたのか、冷静で客観的に自分や周囲を書いている。今や豊胸手術の話題などで週刊誌に話題をふりまいているのが頼もしいのか、悲しいのか。

ライフ人間世界史6「探検の時代」タイムライフ☆☆☆
 
よく行く高速神戸の古書街で見つけたもの、1967年製。シリーズものの中の一冊のよう。世界地図がヨーロッパ界隈しか確定していなかった頃の未知の世界を探し求めていた航海時代の変遷を書いた本。スペインやポルトガルの後塵を配したイギリスがカタイ(中国方面に有ると云う架空の場所)を求め未知の北東航路や北西航路を進んで行く様、伝説の南方大陸を捜して各国の探検者が壊血病にかかりながら右往左往する様が地図の確定した現世に住んで居るものにとって面白い。

畑 正憲「続ムツゴロウの無人島記」文春文庫☆☆☆
 
北海道、道東、霧多布沖、ケンボッキ島での生活記。「北海記」では著者が乞われて遭難者を捜し出すのだが死体と対面したときの記述が何とも生々しい。あと「島への手紙」で画一的な文章を送ってくる子供の思考停止を危惧しているところも興味深かったところ。 

畑 正憲「ムツゴロウの雑居家族」文春文庫☆☆
 
著者の本を好んで読んでいながら実は動物の生態には余り興味はないんだなぁと認識させられた本。動物の出産よりもピント外れな来訪者とのやり取りのほうが面白い。

アガサ・クリスティ「ミス・マープル」集英社文庫☆☆☆☆
 エルキュール・ポアロに次ぐもう一人のクリスティ創出の探偵の精選短編集。読んでいてまず思うのはユーモア溢れる文章で登場人物の個性が際立ち非常に読みやすいこと。翻訳物ということをあまり感じさせない。 淡々と血生臭くなく話が進行するのでホームズ短編集みたいな雰囲気も有る。どれも粒ぞろいだが「話し相手」の犯人の手際が予想以上だった。「四人の容疑者」も犯人探しでワクワクする。 「風変わりないたずら」軽薄カップルに伯父さんが残した隠れた遺産探しを任されたマープルがソレを見つけ出すのだが、ハッピーエンドじゃないほうが良かったと思うのは僕だけでしょうか。

畑 正憲「ムツゴロウの人生航海術」廣済堂文庫☆☆☆
 数多に有る著名な企業家の処世著述本など読む気も起きない御同輩にお勧めできるライフスタイルアドバイス。
俗っぽい戯言に対して著者の反骨心が伺える、膝を叩いたのはよく喧伝される「人生を変えた一言」にまつわる所、印象が強いからかこの手の表現が横行する安物ドラマのような軽佻な展開を風刺してくれる下り。

畑 正憲「ムツゴロウの素顔」文春文庫☆☆☆
 ムツゴロウさん周辺の動物色を排した出来事が読める本、面白かった。 「八連勝」、勝負の綾のなんとなく感じていたところが書いて有りすんなり納得。「的中力」はこじつけっぽい。「青年たち」有名になると大変ですね、それ故に集ってくる人ってムツゴロウさんと対極の人が多いから、相当腹に据えかねている様がハッキリと書かれていて読みものとしては面白い。

石川 真介「金沢能登殺人周遊」青樹社☆☆☆
 
奇想な舞台設定、犯人を如何に読者に解らせずに最後までカモフラージュし続けられるかの所謂、本格派の推理小説に慣れ親しんでいるものにとって不満な点は読み終わった後、登場人物が犯人以外は無意味に感じられごまかされた思いを抱く人もありましょうが、そんな人は石川氏の一連の著作を読まれることをお勧めします。幼児失踪、義母殺しの指名手配犯、突如として表舞台から姿を消した推理作家、三様の物語が絡み合って細かい情景描写、最新の時事ネタとあいまって旅気分も味わえる。 味わって読む方は半分辺りで一旦自分なりの見解をまとめられた方がいいとおもいます。僕は後半は主人公におんぶされて最後まで行ってしまいました。

宮脇 俊三「旅の終りは個室寝台車」新潮文庫☆☆
 JRを一とする私鉄や乗り物の沿線を書きだしている作家の本、全国の特徴のある路線を選び出して書かれているがパートナーを代えた方がもっと面白い読み物になったような気がする。

小西 政継「凍てる岩肌に魅せられて」中公文庫☆☆☆
 気が滅入っているときにこう云った本を読むと、悩みが些末なことに思えてくる。短い人生でも好きなことに邁進したい、この人達みたいには出来ないけれども。

畑 正憲「ムツゴロウの本音」文春文庫☆☆
 いつも面白いエッセイ集、今回は東京周辺の話題他

畑 正憲「ムツゴロウの根釧原野」文春文庫☆☆
  ソ連の巡視船から長躯逃避行の末、拿捕された船長の話、雪に埋もれたTAXI運転手他、北海道での氏周辺の伝聞記。「石綿君」に出てきた牛が泣くシーンは苫小牧辺りの牧場で似たような体験をしたのを思いだした。

畑 正憲「ムツゴロウの博物誌」文春文庫☆☆☆
  人気シリーズの第1弾、蛙、馬、小動物が題材、面白いが続のようなゲテモノの方が個人的には好み。


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