読書雑感8 2003.1〜7  お勧めの本メニューへ トップページへ


我孫子武丸「8の殺人」講談社☆☆☆☆
 印象深い名前なのに最近まで熱心な読書人でなかった僕はこの人を知らなかった、しかしこの人が監修したというゲームソフトは持っていたので(著者のHPによる)知る人ぞ知る人なんでしょう。 しかしそんな自分を恥じ入りたくなるほどにこの本は良かった、著者が世に問うた第一作らしいのだが、キャラクターが生き生きしていてとても間口の広い面白さ。

我孫子武丸「メビウスの殺人」講談社☆☆☆☆☆
 斬新な切り口、読書の喜びを寄与してくれるという点に鑑みればこれは日本のミステリーの中に於いても上位にランクされる凄い物なのではないでしょうか。(他はあまり知らないけど)

法月綸太郎「誰彼」講談社文庫☆☆☆
 上記二冊とは一転して状況把握に理解を要する本格物、しかし読まされている様でなかなかのめり込めなかった。

島田荘司「消える水晶特急」光文社文庫☆☆☆
 読んでいて警察側のたくらみに薄々気がついていたので冗長に感じていたが、最後は複雑に収束する。

法月綸太郎「密閉教室」講談社文庫
 TVドラマや邦画を好む人なら好きな作品になるのではないか。

石川真介「断崖の女」光文社文庫☆☆☆
 薄倖の中年女性が知り合った女子大生と共に各々の問題を解決していくというストーリー悲しくなるほど四面楚歌。

我孫子武丸「0の殺人」講談社文庫☆☆☆☆
 の殺人シリーズ中では著者自らが一番評価されているみたいだが引き込む面白さならメビウスには劣ると読んでいて思っていたが、犯人の斬新さ、タイトルとの兼ね合いを考えるとやはり凄い作品だった。 速水三兄弟シリーズは今のところこれっきりみたいだがぜひ又出して欲しいものだ。

我孫子武丸「探偵映画」講談社文庫☆☆
 ヒロインと主人公の空回り具合がTVドラマを彷彿(嫌いなので一切見ないが憶測でも多分当たっているだろう)して読むのが面倒だった。

我孫子武丸「人形はこたつで推理する」講談社文庫☆☆☆   
 面白い、空回りでもこちらは感情移入できるのはなんでだろう。

浅田次郎「勝負の極意」幻冬舎アウトロー文庫☆☆
 名前しか知らなかったが、NHKの番組で実物を見て興味を覚えたので読んでみた、作家になるための顛末が綴られている前半は面白かった、後半は競馬の話に終始する、「勝負の女神がいったん見捨てた人間は徹底的に見捨てつづけ・・・」の記述に共感。

我孫子武丸「人形は遠足で推理する」角川書店☆☆
 腹話術探偵の長編、ちょっと消化不足。

原 伸也「僕の単独行」山と渓谷社☆☆☆
 国内の無名峰や海外の主たる山をツエルトとテレマークスキーで旅をした記録、面白かった。

島田荘司「砂の海の航海」新潮文庫☆☆
 推理作家の著者が1987年度パリ・ダカール・ラリーに随行した異色の紀行文、カラー写真多し。

有栖川有栖「孤島パズル」創元推理文庫☆☆☆
 著者の第二作らしいのだが、これが最初に読んだ作品になった。主人公に関西弁をしゃべらせているところが通り一辺倒の設定が多い中、目新しく感心した。内容は外界との連絡手段が絶たれた孤島という読んでいて集中できる状況もあって楽しいモノだった。読者への挑戦も有り(二名あげてサブの方が当たった)。

我孫子武丸「殺戮にいたる病」講談社文庫☆☆☆☆
 「メビウスの殺人」の同系統だがなんか読みにくいな、読み物としてはあれよりは劣るなと思っていたら叙述トリックだった。推理小説だというのを忘れていた。だまされたこともさる事ながら異常犯罪者の心理は理解の埒外なので読んでいてしんどかったので4だが出来栄えは5。

コリン・デクスター「キドリントンから消えた娘」早川書房☆☆☆
 英国製の二昔前の名作、魅力溢れるモース警部に序盤から引き込まれるも、収束は消化不良が残った。

宮田珠己「旅の理不尽」小学館文庫☆☆
 気楽に読めるオチャラケ海外旅行記、しかしこの本でも女性が絡んでくると他と同じように焦点がぼやける。
詐欺でもいいから旅先で女性と縁付きたいものだ。

島田荘司「異邦の騎士」講談社文庫☆☆☆
 著者の実質的処女作、ハードボイルドミステリー、引き込まれる面白さがある。

F・W・クロフツ 「樽」創元推理文庫☆☆☆
 80年以上前の古典名作として余にも有名だが、読んでいなかった。 地理的、時代公証的に加えて海上交通も絡んでくるのでアリバイなんて追わず、ノスタルジックな気持ちで読んだ。 

法月綸太郎「一の悲劇」祥伝社☆☆
 じめじめした人間模様を味あわされる推理小説、作者の罠に引っかかった。

島田荘司「ら抜き言葉殺人事件」光文社
 社会文化論にも一家言有る著者が創作の形をとって自説を展開している。

トマス・ハリス「レッド・ドラゴン」上・下 ハヤカワ文庫☆☆☆☆
 上・下巻を正味3日間ほどで読み終えた、面白かった。猟奇ホラー、フィクションなので気が重くなるようなこともそう無い。余談ですが先日、地上波初登場で見た「ハンニバル」はヒロインは魅力的だったが映画は御粗末だと思いました。

加藤伸美「ヨーロッパ横断キャンプ旅行」光文社文庫
 こういうツアーが存在するのか、と興味深く読んだ。只、著者の神経過敏振りに退いた。

浅田次郎「勇気凛々ルリの色」講談社文庫☆☆☆☆
 ユーモアエッセイ、本を読んで声を出して笑ったのは久しぶり。それ故にまじめな章が心に沁みる。

法月綸太郎「雪密室」講談社
 中編なのに途中で投げ出したりして二週間かかった、読書の喜びは喚起してくれなかった。

コリン・デクスター
「森を抜ける道」ハヤカワ文庫☆☆☆☆
 長編なのに面白くて二日で読めた、新聞投書された謎の詩を読解し失踪した女子学生が埋められているという場所を特定する、お薦めの一作。

浅田次郎「地下鉄に乗って」講談社文庫☆☆
 珍しく手にした純文学物、過去に障壁の有る家族に主人公がタイムトリップして計らずも出会ってしまうという面白い設定、自殺した兄や父親にも出会う下りは面白いが、恋愛が絡んでくると読む気がしなくなるので後半は速読してしまった。

コリン・デクスター「カインの娘たち」ハヤカワ文庫☆☆☆
 この人の本がなぜ面白いか、その一つに女性の退廃的な脆さが有ると思う、今回など美人教師が屑生徒と絡む下りがそうで有るし(途中から作者は愛情の傾注具合を別の女性にシフトしたが)、今まで読んだ他の二作も魅力的な女性の裏の顔にいたく興味をそそられた、それがモース主任警部を余計に引立てている。

開高 健「ベトナム戦記」朝日文庫☆☆☆
 従軍記者として南ベトナムに赴いた著者の主観を押さえた最前線、現地レポート。開高さんが今も生きていたら鼻を鳴らしながら今のマスコミを覆う、女にもてたいだけの自由主義左派連中に鋭い警句を発してくれるのではないかと思ってやまない。

斉藤 政喜「耕うん機オンザロード」小学館☆☆☆ 図書館
 東日本を旅する記録、出合いが多くてうらやましい、それだけ。

戸山 光晴「アメリカ大陸夢紀行」文芸社☆☆ 図書館
 サンフランシスコを基点として長距離バスで北米を幾度も横断する記録、近いうちにこれと全く同じ事を実践すべく資料漁りをしていたので興味深く読んだ、因みにこの本は最近近所に出来た大型図書館から借りたもの。

A・チェリー・ガラード「世界最悪の旅」小学館☆☆☆ 図書館
 約百年前、南極初到達を目指すもノルウェーの探検家アムンセンに先駆けされ、極点第2到達後様々な不運に見まわれたイギリス人探検家スコット達の不帰の記録。 

石川真介「横浜赤い靴殺人事件」コスミック☆☆☆ 
 綿密な現地取材と薄倖な女性が登場するのが特徴の旅情推理作家の最新作。小道具としてのオルゴールが映えている、思いもかけない登場人物が実は重要だったと云う一遍。

高田直樹「続なんで山登るねん」山と渓谷社☆☆☆
 面白かった、今度是非本編を読んでみようと思った。

富山県警察山岳警備隊 編「ピッケルを持ったお巡りさん」山と渓谷社☆☆☆
 遭難者の為に落雷や雪山の中、昼夜を問わず駆り出される警察官や山の人々の体験記。どれも面白いが「孤独の絶壁」が一番印象深かった。

宇賀昭二・木村憲司「身近な寄生虫のはなし」技報堂出版☆☆☆ 図書館
 面白おかしく身近な寄生虫を紹介してくれるのだが、反面怖い。

工藤隆雄「山小屋主人の炉端話」東京新聞出版局☆☆ 図書館
 有る意味隔絶された空間だし、もっと興味深い話が開陳されるのかと思っていた。
不気味な人や雷の話は面白かった。
 
コリン・デクスター
「ウッドストック行き最終バス」ハヤカワ文庫☆☆☆
 モース警部が活躍する第一作にして名作、ヒッチハイクをしていた二名の女性の一人が惨殺体で発見された、もう一人は名乗り出てこない、数少ない目撃証言と推論で犯人を絞り込んで行くが・・・ 結末が意外な事にも驚いたが、性の乱れに暗澹たる気分にさせられる、女性に対する執着心の裏返しか。

羽根田 治「生還」山と渓谷社☆☆☆ 図書館
 山岳遭難から救出された人々の生還へのキーワード集、大変面白かった。

藤田サトシ「ヅラが彼女にバレたとき」文芸社☆☆☆☆ 図書館
 面白い、最高。是非一読を。



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