読書雑感13 2006.1〜2007.12   トップページへ


◯宮部みゆき 「模倣犯」上・下巻 小学館☆☆☆☆ 図書館
 上下巻あわせて約1400p 面白かった。 登場人物の名前をみて、もしかしたら作者はパリーグのそれも阪急ブレーブスのファンだったのではないかと思った。読了後、たまたま映画もやっていたので流し見たが、よくまぁこんなに解釈を違えるもんだと、改めて日本映画の悪しき部分を再確認した。
◯沢木 耕太郎 「深夜特急 第三便 飛行よ、飛行よ」新潮文庫☆☆☆☆☆  図書館
 今まで読んだ全紀行文の最高傑作。三部作の完結編、この本に出会えた事を感謝します。

◯ヒラリー・ウォー 「失踪当時の服装は」創元推理文庫☆☆
 54年前の社会派古典、ハヤカワ海外ミステリー・ベスト100の20位にランクされていたので読んでみたが・・・

◯J・パタースン 「キス・ザ・ガールズ」新潮文庫☆☆☆☆
 一作目の「多重人格・・・」を読んだのは10年以上前、今作も面白かった。今年は途中で本を投げ出したり、速読でやっつけたりしたことが多かったがそんな中、この作品は楽しめて読めた。サイコサスペンス。

◯マルコム・マクファーソン 「墜落!の瞬間」青山出版社☆☆☆☆ 図書館
 事故航空機に残されたボイスレコーダーが語る真実。 1985年の日航機や1986年のスペースシャトルの録音まであるとは知らなかった。


2007.1〜

◯大村 一朗 「シルクロード 路上の900日」めこん☆☆☆  図書館
 徒歩で中国西安からイタリアローマまで走破した紀行文。622pも有ったが、中国、中央アジア、中東とアクシデントが予想できそうな地域が舞台なので興味深く読めた、案の定、小役人による拒絶やトルコで睡眠強盗にも遭っていてよくもマァ無事だったなと感心しながら読み終えた。

◯足立 邦夫 「ドイツ傷ついた風景」講談社文庫☆☆☆  
 戦中・戦後のソビエト(ロシア)がやったことや中東で起こっていることを客観的に見て、全ての戦争責任をナチスに押し付ける遣り方に純粋に疑問を抱いているので僕はヒトラー云々よりも文化芸術国家ドイツが受けた総合的な被害に昔からとても興味があります。この本でもその具体的な記述は一部でしか知る由が有りませんでしたが切り口は遠慮しつつもドイツよりなので好感が持てた。

◯吉田 一彦 「騙し合いの戦争史」PHP新書☆☆☆☆ 図書館  
 昔の兵馬俑みたいな事を現代でもやっていたのが面白かった。しかしこの本を通して成功裡に終わっているのは大抵共産圏諸国の方で狡猾な者の得意ジャンルだなと思った。

◯畑 正憲 「ムツゴロウ世界動物紀行 シルクロード編」SB文庫☆☆ 図書館
 久しぶりにムツゴロウさんの本を読んでみた。馬を巡ってユーラシア大陸を彼方此方訪ね乗馬する紀行文。

◯吉田 一彦「無条件降伏は戦争をどう変えたか」PHP新書☆☆☆☆ 図書館
 完膚なきまでに叩きのめされ、奪われる無条件降伏、連合国側がその無条件降伏を早々と提示したために消耗戦に突入した経緯などを書いている。ルーズベルトという人物がスターリンと同じように見えてきた。

◯パウル・カレル/ギュンター・ベデカー「捕虜」学研☆☆☆☆ 図書館
 第二次世界大戦後、敗者ドイツ側の捕虜が戦勝国の間でどう扱われたかの記録。ソビエトもさることながらユーゴスラビア収容所での非人道的な記述に恐れ入る。戦勝国側からの資料ばかり溢れている中、このような本を出版、著述した意義は大きいと思う。

◯伊籐 敏樹「モンゴルvs西欧vsイスラム」講談社☆☆☆☆ 図書館
 13世紀、ユーラシア大陸の偏狭に北封されていた遊牧民が近隣の国に軽くあしらわれ、それを撃退してのち己の力に気がつき、世界制覇に乗り出す様子を主に中央アジア〜ヨーロッパ、北アフリカを舞台に書き出している。モンゴルの力がこれほど凄かったとはこの本を読んで改めて知らされた。ロシアを平定し、イスラム文化を蹂躙し、東欧を侵略し西欧をも睥睨した規模の大きさ。当事の欧州の人々は山の遥か彼方からまったく容貌の違う蛮族がやってくるのはさぞかし怖かったであろう。

◯勝藤 猛「フビライ汗」中公文庫☆☆☆ 
 モンゴル帝国といえばチンギス汗とフビライ汗、ぐらいは名前ぐらいは知っていたが詳述は知らなかった。上記の本にも殆どフビライが出てこなかったので読んでみた。この本を読んでいると、当時の中国が文芸の色合い濃く、異民族に易々と支配を許しているのがよくわかる。日本に二度攻撃を仕掛けたのも、属国になった高麗の進言だということも初めて知った。それにしてもあのモンゴルがこんなに物凄かったとは。意味の無い想像だが日本も陸続きなら今ごろはオリエンタルな容貌をした人々が少しは居た筈。

◯羽根田 治「ドキュメント 道迷い遭難」山と渓谷社☆☆☆ 図書館
 遭難者がいかにしてそこに至ったかなどを検証している。

◯永友 敏「シベリヤ抑留 凍土の果てに」鉱脈社☆☆☆ 図書館
 戦後に捕虜としてソビエト連邦によってシベリヤに抑留された様を書いたもの、当時、ソ連側に偏向した人の書いたものなので、余り悲惨な感じは伝わってこないが、最前線の緊迫感は少し窺い知れた。

◯谷口 凱夫「アルプス交番勤務を命ず」山と渓谷社☆☆ 
 以前読んだ、ピッケル・・・の続編。乏しい装備での遭難救助の記述は面白かったが。途中間延びした。

◯北尾 トロ「ぶらぶらヂンヂン古書の旅」風塵社☆☆☆☆ 図書館
 面白かった。日本各地の古書店をめぐる旅、神戸編で高速神戸〜新開地の古書街に触れてないのが残念。

◯荻原 魚雷「古本暮らし」晶文社☆☆☆ 図書館
 古本にまつわるエッセイ集、年配者の書いたものかと思ったが、二歳も年下だった。つつましい生活ぶりに好感が持てる。

◯岡田 斗司夫「オタクの迷い道」文藝春秋☆☆☆☆ 図書館
 TVなどで物への偏愛ぶりを饒舌な語り口で紹介し、いつも感心させられる人の10年前ぐらいのコラム集、この人がTVなりラジオなりを作ってくれたらもっと「見られる」番組が増えるのになぁと思った。